【完】ぜんぶ、ちょうだい。




『何気ない休み時間の会話、くだらなくて止まらなかった笑い声。「また明日ね」と何も考えずに交わした言葉』



また明日。
その言葉が、こんなに重くなるなんて、あの頃は知らなかった。



『当たり前だと思っていたその一つ一つが、今になって、かけがえのない宝物だったと気づかされます』



先輩。

先輩、聞いてる?


出会ってから、ほんとにたくさんのことがありましたよね。

楽しいことばかりじゃなくて、うまく話せなかった日も、すれ違った日もあった。

つらいなって思う瞬間も、もちろんあった。

それでも。
先輩と過ごした毎日は、確かにここにあって。

振り返れば、どれも全部、私にとっては大切な、大切な時間で。



先輩と過ごした日々は――

間違いなく、宝物でした。



答辞の声が、少し震えて聞こえる。
それにつられて、私の視界も、ゆっくり滲んでいく。



何を考えているのか、よくわからない表情も。
呼び止めたときに返ってくる、小さな声も。

うまく言葉にできなくて、ちょっと不器用なところも。

全部、全部――先輩らしくて。


それでも、ちゃんと私を大切にしてくれたこと。
不安なときは、そばにいてくれたこと。


私なんかのことを、好きだって言ってくれたこと。