「……私、先輩のおかげで、今の寂しさ全部消し飛びました。だから――」
そこまで言って、少しだけ息を吸う。
心臓がうるさくて、自分の声がちゃんと届いているのか分からない。
「……もっと、してほしいです」
自分で言っておいて、胸がぎゅっと縮んだ。
欲張りすぎだって分かってるのに、止められなかった。
先輩はまた深くため息をついて、少しだけ私を睨む。
でも、その目は怒っているというより、困っているみたいで。
「煽るの、やめて。これ以上は、理性もたない」
「……っ」
思わず息が詰まる。
わあ、って心の中で声が出た。
先輩でも、こんなふうになるんだ。
「相手が私でも……そんなこと、思うんですねっ!?」
「あのさ、バカにしてんの? 彼女だって自覚、持てよ」
……だって。
だって、しょうがないじゃないですか。
あの先輩が、私なんかに。
いまだに、彼女であることが不思議で仕方なくて、夢みたいで、現実味がなくて。
私のほうが、先輩のことを大好きで、好きで好きで好きすぎて、その分、先輩から向けられる気持ちを、まっすぐ受け止めきれない。
信じたいのに、嬉しいのに、どこかで怖くなってしまう。
それでも先輩は、こうして私を見て、欲しいって言葉に困った顔をしてくれる。
その事実だけで、胸がいっぱいになってしまうのに。



