「……私、先輩の進路とか、聞いてないし……気になるけど、聞きたくないし」
先輩は小さく笑って、
「どっちだよ、それ」
だって。
聞いちゃったら、余計に実感しちゃうんだもん。
「県内だし、なんならここから近い。推薦で、もう決まってる。他のやつより、暇」
「……そ、うですか」
県内でよかった、って思う気持ち。
でも、それでも――卒業しますよね?っていう気持ち。
安心と寂しさが、同時に胸に広がって、うまく整理できないまま、私は箸を動かす。
先輩が近くにいる今この時間が、あとどれくらい続くのかなんて、分からない。
「留年しません?」
思わず、口から飛び出した。
先輩は一拍も置かずに、むり、と即答する。
……それはそう。
こんなにも先輩の卒業を寂しいと思ったこと、今までなかった。
卒業式が来るな、なんて思ったことも、初めてで。



