【完】ぜんぶ、ちょうだい。




水元先輩のメイクはばっちり決まっているはずなのに、見られていると思うと、どうしても恥ずかしくて、じれったくて、つい顔を反らしてしまう。


……なのに。



「いい、ね。かわいい」



ぽつりと、泉先輩が言った。


反射みたいに、先輩のほうへ顔を向けてしまって、見れば、頬杖をついた先輩が、少しだけ口元を緩めている。


……なに、その顔。


なんだか、嬉しそうで。
満足そうで。
私の心臓のことなんて、何も分かってなさそうな顔。


――なんで私のほうが、こんなにきゅんきゅんしてるんだ。


ちょっと、悔しい。
いや、ちょっとどころじゃない。



「先輩。きゅんきゅん、します?」



まだ少し恥ずかしさは残っているけれど、できるだけ平然を装って聞いてみる。
すると先輩は、あっさりと。



「いや、全然」



……え。

じゃあ、なんですか、さっきの「かわいい」は!?
思わず心の中で全力ツッコミを入れる。