【完】ぜんぶ、ちょうだい。




「な、なんでしょう……?」



声が裏返りそうなのを必死に抑える。
先輩は少しだけ首を傾げて、真面目な顔のまま言った。



「いや。いつもと違うっていうか、朝と違うなと思って」



そう言って、またじーっと。
本当に、穴が開くんじゃないかってくらい、見てくる。


恥ずかしさが限界を超えて、咄嗟にお弁当袋を持ち上げ、顔を隠した。
心臓はもう、ドコドコ言いっぱなしだ。


袋の上から、ちらっと目だけを出して、覗くように先輩を見る。



「へ、へん……?」



すると先輩は、さらっと言う。



「もっとよく見ないと分からない」



……え?

次の瞬間、私の手から、お弁当袋が取り上げられた。



ひっ、ひいぃぃぃい~~っ!!



もっとよく見ないと、って。

――いやいやいや、もう十分見てますからぁっ!