このまま、少しだけ。
扉の外から、泉先輩を眺めているのも悪くないかもしれない。
静かな横顔も、窓から差し込む光も、全部、好きで。
でも、これ以上待たせたら、申し訳ない。
少し緊張しながら、扉を開けた。
きい、と音がして、先輩がこちらを振り向く。
視線が合って、短く一言。
「おつかれ」
それだけなのに、胸がまた鳴る。
相変わらずの仏頂面。でも、その声には、確かに優しさと、ほんの少しの甘さが含まれていて。
それが、どうしようもなく、私を虜にする。
だめ、泣きそう。
悟られないように、必死で表情を整えて、先輩の隣に座る。
「せ、先輩。遅くなってすみませんっ! 実は――」
そう言って、パッと先輩のほうを向いた、その瞬間。
……近い。
身を寄せるみたいに、泉先輩が私のことをじーっと見ている。
近すぎる。近すぎて、視界がほぼ先輩。
あ、あっぶな……!?
心臓に穴が開くかと思った……!



