【完】ぜんぶ、ちょうだい。




「毎日、かおが浮かれてるーって、秦が言ってたよ」

「はた?」

「あぁ、秦はかおと同じクラスの男子で、かおが唯一気許してる人かな」

「えっ、そうなんですか?先輩、いつも友達に囲まれてるイメージなんですけど…」



食堂でも、たまにグラウンドで体育中の先輩を見ると、いつも何人かの友達に囲まれている。

だから、そんな“唯一気許せる人”がなんて、意外すぎて信じられなかった。

先輩は首を傾げて、少し考え込むようにしながら言った。



「んー。なんて言うんだろう。秦とは、親友?みたいな?」



そして、ちょっといたずらっぽく顔の前でハートを作る先輩。

ビームでも出そうな勢いだ。



「かおモテるから、そのおこぼれを貰おうとするやつもいるんだよ。秦はそんなことないし、落ち着いてるし、一緒にいて楽なんだろーね」



先輩はそう言いながら、手際よくポーチにコスメをしまう。