「いつもオレンジっぽいリップ使ってるよね?意外と、こっちも合うと思うな」
水元先輩の指先が軽やかに動き、次々と色のアドバイスが飛んでくる。
私は鏡越しに自分の顔を見るたびに、少しずつ変わっていく自分。
あれよあれよとレクチャーを受けて、ついに完成した「新・吉川小鞠」は、まるで別人みたいだった。
簡単に言うと、かわいい系じゃなくて、きれい系。
いつもの自分からは想像もできない仕上がりに、思わず目を見開く。
「…さすがですね」
先輩は軽く笑いながら、そうでしょ、と返す。
その笑顔に、ちょっと胸がきゅんとする。
「今使ったの、全部あげるよ」
そう言われ、恐縮しつつも私は手を伸ばして受け取る。
こんなブランドもの、女子高生にとっては喉から手が出るほど欲しいやつだもの。仕方ない。
「そういえば、かおと付き合えたんだよね?ほんとーに、おめでとう」
水元先輩は、いつもの透き通るような笑顔でそう言った。
その美しさは相変わらずで、思わず見惚れてしまう。



