先輩が、ふと私をちらりと見た。目が少しだけ揺れて、何かを考えているような、そんな雰囲気が伝わってくる。
「なんですか?」
先輩はしばらく私を見つめたまま、口を開く。
「いや、今日の昼。たまには一緒にどうかなって」
「え!?!?」
驚きのあまり、声が大きく出てしまった。
慌てて手で口を押さえようとした瞬間、先輩の手がすっと重なった。
「ほんとどうにかなんない?頭痛い」
先輩はため息をつき、少し目を細めたまま私を見ている。怒ってるのか、呆れているのか、どっちなのか分からなくて、胸がますますドキドキする。
でも先輩は、優しく手をどけて、短く一言だけ残した。
「昼、旧校舎」
最後に、軽く頭に手を置いて、先輩は何も言わずに去っていった。
す、すきっ……!
もう、先輩の人たらしっ!イケメン!かっこいい!すき!
顔を押さえる手のひらの感触に、ふとため息が漏れる。
熱くなる頬を隠しても、心臓の高鳴りはどうにもならない。
先輩は、どうしてこうも私の心を乱すんだろう。



