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「せんぱーーい! おっはようございまあす!」
朝の恒例行事。
もはや、挨拶という名のイベント。
私にとっては一日の始まりのスイッチみたいなもので、これをやらないと落ち着かない。
案の定、今日も返ってくるのは、しかめっ面。
眠そうに眉を寄せた先輩が、重たい動作で玄関に出てくる。
ああ、分かってます。
朝弱いところに、この声量。
そりゃ嫌ですよね。
「……声量、なんとかならない?」
先輩は、私の何倍も小さい声でそう言いながら、ぶつぶつ文句を続けて靴を履き替えている。
ほとんど聞き取れないくらいなのに、ちゃんと不満だけは伝わってくるのが不思議だ。
「せめて、近くに来てから言うとかさ」
いやいや。
その声量で一日もつんですか、先輩。
昼には電池切れ起こしてそうですけど。



