「……私」
一瞬、言うか迷った。
でも、迷ったまま終わらせたくなかった。
「私、先輩のこと、絶対絶対、ずっと好きです」
言葉にすると、少しだけ恥ずかしくて、でも、それ以上に胸が軽くなる。
「私が責任もって、大切に、幸せにするので」
繋いだ手に、そっと力を込めて。
「先輩、よそ見しないでくださいね?」
少しだけ挑発するみたいに、唇の端を上げて笑う。
冗談みたいな言い方にしたけれど、これは全部、紛れもない本心だった。
この手を離すまでの、あと数秒。
その短い時間さえ、今は惜しくてたまらない。
「……そういえば」
別れの空気が、やっと流れ始めた、そのときだった。
「“死ぬほど分からせてやるから。覚悟しとけ”ってやつ、まだ終わってないから」
「……え?」
それはもう、さっき先輩のお家で十分すぎるほど――
そう言おうとした。
本当に、そう思っていたのに。



