ぜんぶ、ちょうだい。




「えっと…」



言葉を探していると、泉先輩がため息をついて立ち上がった。
その動きにつられて、私もプリントを持って立ち上がる。



「さすがに毎日はしんどい」



ぽつりとこぼれた言葉。
それが、どこか遠くて、でも確かに私に向けられていた。



「だから、どうしたら諦めてくれるのかなって」



泉先輩が、真っすぐ私を見る。
その瞳が、初めて私だけを捉えている気がした。
無表情なのに、目だけが真剣で、 逃げられないくらい、強かった。


私に向けた言葉。
今までずっとほしかったもの。
声でも、視線でも、何でもいい。
泉先輩から、私に向けられる何かが、ずっと欲しかった。


でも、それが“諦めてほしい”って言葉だったなんて。
胸がぎゅっと締めつけられる。



でも、でも――



こんなの、諦められるわけない。