【完】ぜんぶ、ちょうだい。




「はは、泣いてる」



その声に、思わずうぅ…と小さくうめいた。

絶対、今の私はブサイクだ。

そうじゃなければ、この先輩の笑顔をずっと見ていたいのに……。

痛いし、涙も出るし、絶対ブサイクだし、(鼻血出てるかも!?)と、頭の中でパニックになりながらぎゅっと目を瞑る。



「手繋いで歩こうね」



子ども扱いされるみたいなのに、胸の奥がじんわり熱くなって、キュンとしちゃう自分がいて困った。


先輩は私のカバンも持ってくれて、開けた左手でそっと手を繋いでくれた。

好き。

まだ半べそ状態の私を、クスクス笑いながら見ているけど、それでも好き。



「膝、血出てる。今大きい絆創膏持ってないし、俺ん家でいい?」

「…え!?!?」

「…うるさ」

「いいですよ、そんなの!このまま帰りますよ!!」



頭の中が興奮でいっぱいになり、つい饒舌になってしまう。



「先輩のお家にお邪魔したら、私帰りませんけど!?いいんですか!?ずっと匂い吸ってますけど!?」



“俺ん家”というワードに、心臓がドクンドクン暴れだす。

先輩は、何言ってんだコイツ、みたいな目で私を見てきて、無事死亡。