【完】ぜんぶ、ちょうだい。




ひたすらひとりで悶々としながら教室に戻った。さっきの出来事が何度も頭の中で再生される。
考えないようにしても、勝手に思い出してしまうのが余計に悔しかった。


そんなまま教室の扉を開けて、清水の顔が視界に入った瞬間、不思議と気持ちが少しだけ落ち着いた気がした。



「清水、ありがとね」



ちゃんと伝えたくて、そう言うと、清水は一瞬だけこちらを見て、すぐに視線を逸らしながら、別に、とそっぽを向いた。

その仕草がなんだか可笑しくて、思わず笑ってしまったら、なに笑ってんだよ、と少し強めに言われる。



「あんな余裕見せられたらさ、さすがに勝てねーな」



清水はそう言って、なぜか少し嬉しそうに笑った。


でも――余裕なんて、全然なかったけど。


そう心の中で呟いた瞬間、さっきのことを思い出して顔が一気に熱くなる。

意外と全然余裕なさそうでしたよ。……って、私が言える立場でもないけど。



(私のほうが、全然余裕ないけど!)



心の中で叫びながら、まだうるさい心臓をごまかす。



「もし泣かされたりしたら言えよ」

「私今幸せだから大丈夫!」



清水は少し呆れたように、そーかよ、と返す。


超絶、幸せ!!