【完】ぜんぶ、ちょうだい。




怖くて、でも確かめたくて。
チラ、と見上げる。

すると、はあ?って顔。

思わず、肩がびくっと跳ねる。



「だって……」



引き下がれなくなって、焦って続ける。



「好きって、言われてないですよっ……!」



声が、思ったより大きくなった。
廊下に響いて、はっとする。


やばい。言いすぎた。


その瞬間。

ぐいっと、腕を引かれた。



「え――」



声を上げる暇もなく、先輩に引っ張られる。
歩幅は合わされない。いつもみたいな、あの優しさもない。



「ちょ、どこ行くんですか……!」



必死に足を動かしながら、背中に向かって叫ぶ。



「先輩、待ってくださいって……!」



でも、返事はない。振り向きもしない。


……これ、怒ってる?