ぜんぶ、ちょうだい。




「どうしたら、諦めてくれる?」



頭の上から聞こえてきた、低くて優しい声。


え? 今、なんて…?


顔をあげると、そこには泉先輩。
相変わらず無表情で、何を考えているのか分からない顔。

でも、その声は、確かに優しかった。
柔らかくて、静かで、初めて聞いた、泉先輩の声。



「俺のこと、どうしたら諦めてくれる?」



もう一度、同じ言葉が降ってくる。
心臓が、ドクンと跳ねた。

先輩、私のこと…認知してくれてる。

毎朝の挨拶も、目で追ってたことも、全部、気づいてたんだ。



って、そうじゃなくて。


私、今、なんて言われたの?

“諦めてくれる?”って。


それって、私が迷惑だったってこと? それとも、ただ気になる存在だったってこと?


頭の中がぐるぐるして、 言葉が出てこない。