【完】ぜんぶ、ちょうだい。




「でも、吉川がそんな俺でも好きだって言ってくれるから。何がいいのか、自分でもほんと、わかんないけど、俺の隣で笑っててほしいって思うよ」



先輩――。


それは、最上級の愛情表現ではないですか。
何がいいのかわからないって、それくらい私のことが好きだってことなんじゃないですか。



「……先輩、私……水元先輩みたいに、なれますかね……」



少し震える声で聞くと、先輩は少しだけ息を吐いて、私をじっと見つめる。

その視線は鋭くて、思わず目を逸らしたくなるけれど、先輩はそれを許してくれない。



「なんで?なる必要ないんじゃないの」

「だって……先輩が唯一、好きだった人なんですから……目指したくもなりますよ」



言い終わった瞬間、私の頬が熱くなる。

赤くなってるの、先輩にバレてるかな……?

先輩は呆れたように息を吐き、私の目を離さずに言った。



「吉川は、水元と違うだろ」

「……顔とか、スタイルとかですか」

「それは誰だって違うだろ。そうじゃなくて、吉川はそのままでいいって言ってんの。そんな吉川だから、俺は、」



先輩はそこで何かを言いかけて、急に口元に手を当てて目をそらした。

胸がどきどきして、息が止まりそうになる。