【完】ぜんぶ、ちょうだい。




お店を出ると、当たり前みたいに先輩が私の手をつないでくれた。

その瞬間、また泣きそうになる。ほんとに、涙腺がバカになってる。



「……なんで、私の誕生日知ってたんですか?」



先輩は少しだけ足を緩めて、私を見下ろして言った。



「名前聞いたときに、誕生日も言ってたの、覚えてないの?」

「……。」



覚えてないわけ、なかった。

先輩との時間は、いつだって大切で、ひとつひとつちゃんと覚えてる。

ただ、まさか、先輩がそれを覚えているなんて、思ってなかっただけで。

そんなことまで、覚えてくれてたんだって思ったら、胸がぎゅっと苦しくなる。


手を繋いだまま、先輩を見上げる。
胸の奥が熱くて、心臓がぎゅーっとなって、涙もまだ止まらないけれど――
それでも幸せすぎて、全然気にならない。



「先輩の……困ってる人を放っとけないところとか、冷たいけど優しいところとか……なんだかんだ、私のことを見てくれてるところとか、私の小さなどうでもいい呟きまで覚えててくれてるところとか……全部、全部、大好きですっ……!」



声に出すたびに胸がぎゅーっと締め付けられる。

好きって、今まで何回も、何十回も伝えてきたのに、それでもまだ足りない気がするのは、どうしてだろう。