【完】ぜんぶ、ちょうだい。




なんで誕生日知ってるんですか。いつからこんなこと考えてたんですか。
先輩って、サプライズする人だったんですか。

言いたいことは山ほどあるのに、口から出たのは一言だけ。



「……す、き」



大好き。

大好き。

大好き。


先輩は眉を下げて、優しい顔で、うん、と答えた。


泣きながら食べたケーキは、正直、味がよくわからなかった。
でも、なんとなく、先輩のほうが嬉しそうに見えて、それを見ただけでまたダーッと滝のように涙が溢れた。



「ここ、店だから」



先輩が呆れた声で言うけれど、こんなの、しょうがないじゃないですか。というか、全部先輩のせいです。



「……ケーキ、頼まなくてよかった」

「でも、無限に食べられるんじゃなかった?」

「そうですけど……これで、今日一日を終わりたいです」



思わず、胸の奥から溢れる気持ちを言葉にしてしまう。



「好きです」



先輩はふっと笑って、分かったって、とだけ言った。


でも、それだけじゃ足りない。
だって、何回言っても、足りないんだもん。