【完】ぜんぶ、ちょうだい。


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「吉川、先輩と帰んの?」



ホームルームが終わって、机の中を片付けているときだった。

急に声をかけられて、心臓がびくっと跳ねる。
たぶん、私の落ち着きのなさを見て、なにか察したんだと思う。



「う、うん……」



自分でもわかるくらい、声がぎこちない。

それを聞いた清水は、少し呆れたように笑って言った。



「お前、緊張しすぎじゃね?」



……だって。

だってさ、
これは緊張するでしょ。

むしろ、しない方がおかしいと思う。

しかも、そういうふうに言われると、余計に意識しちゃうじゃん……。



「急がねーと、先輩待ってんじゃねーの?」



清水はそう言って、ひょいっと顔を窓の外に向けた。

その仕草につられて、私も視線を追う。

校舎の外。
校門のあたり。

遠くて、はっきりとは見えないけど。

あの立ち方。あの雰囲気。

どう考えても、先輩……だ。



「やっ、やばいっ……!」



待たせてる!先輩を!!

先輩を待たせるなんて、言語道断!

さっきまで、あんなにあった緊張は、一気にどこかへ飛んでいって。



「じゃ、じゃあね!」



清水に適当に言い残して、気づいたときには、もう体が動いていた。

先輩、こんなに早くホームルーム終わるなんて、聞いてませんよっ……!