【完】ぜんぶ、ちょうだい。




「せ、先輩……お久しぶりです」

「朝ぶり」



どうすればいいんだろう。
なんて言えばいいんだろう。
そもそも、私は何をしにここに来たんだっけ。

あ……そうだ。
今日は、私の誕生日だった。

それで、えーと……



「吉川」

「はっ、はい」

「今日、一緒に帰る?」

「……へ?」

「予定ある?」

「な、いですけど……」

「じゃあ、一緒に帰ろ。校門で待ってるから」



そう言うと、先輩はあっさりと立ち上がり、じゃ、とだけ言って行ってしまった。

しばらく、私は口が開いたまま、動けずにいる。


なんだ、今のは……。

まさか、先輩からの、誕生日サプライズ……!?


……って、いやいや。

そんなことあるわけ、ない。

そもそも、先輩、私の誕生日なんて知らないはずだし。

じゃあ、なんで……!?



「こまちゃん、百面相中申し訳ないんだけど~今、泉先輩いたよね?」



びくっとして、振り向くと、ひまちゃんがニヤニヤしながら立っていた。



「いたいた。しっかりいました。一緒に帰ろうって、なぜか先輩から……サプライズかな?」



思わず、頭を抱え込む。
いやいやいや、そんなわけない、って。
でも、どうしても心臓がドキドキして止まらない。