借りを作るようなこともしたくないし。
明日お金を返して、このことは綺麗さっぱりなくして。
そしてまた、必要最低限しか関わらないような生活を取り戻そう。
助けてくれた相手にこんなことを考えるのは少し気が引けるけど、それでも今村とはあまり深く関わりたくなかった。
次の日の朝。
「これ、ちょうどあるから。」
小さな封筒に入れた680円を今村の机に置く。
「いいって言ったのに。」
「申し訳ないから。」
「このくらい甘えればいいのに。」と、少し不満そうにカバンに封筒を入れる。
一件落着。
「ねえ。ひとつ頼まれてくんない?」
.....のはずだった。
「え、なに?」
「今週末ひま?
ちょっとさ、デートしようよ。」
「.....ごめん。予定ある。」
咄嗟に出た嘘。
これ以上は無理。
関わりたくない。
「何その間、嘘でしょ?」
と、勝ち誇ったように笑っている。
「おねがーい。パン買ってあげたじゃん?」
顔の前で手を合わせながら、今村は私に頼み込んでくる。
.....いや、でも、お金は返したし。
これで、全部終わりでいいじゃん。

