「え、え、いいよっ!」
「いいから。困ってるんでしょ?」
戸惑う私を他所(よそ)に、今村くんはお金を出しお会計を済ませる。
自分の分のパンを手に取ると、「はい、こっちゆずの。」と袋を渡される。
「え、あ...ありがとう。」
差し出された袋を受け取りお礼を言う。
こんな時も、袋の方を私にくれるなんて本当にさすがだ。
意外と、小さな気遣いができる人。
まあそんなところがモテるポイントでもあるんだろうけど。
「困った時はお互い様だから。」
なんて笑う彼に、「さすが彩輝、優しいね〜!」なんて連れの女の子は笑い。
その子たちと人混みに消えていった。
「うわー、さすがだね〜。」
教室に戻り、菜乃花に今のことを話せば私と同様に関心したみたいで。
申し訳ないことしちゃったな、って少し罪悪感。
なんともないクラスメートのためにパン買ってくれるなんて。
「でも、今村がいてくれてよかったじゃん!
いなかったらガチでお昼抜きだったわけだし。」
「今回ばかりは助けられたわ....」
きっと、今村じゃなければあんな事してくれなかっただろうし。
「本当、女遊び激しくなきゃいい男なんだけどね〜。」
お昼を頬張りながら菜乃花は言った。
「本当にね。」

