なぜ気づかなかったのか。
隣に今村がいるということに。
両腕に絡む女の子たち。
こんな場所まで女子を連れ回してるなんて。
周りの女の子たちも目をキラキラさせて今村のことを見てる。
ああ....
早く出たい。このアウェイな空間から。
「どーも。」と、軽く挨拶をして前を向く。
なるべく会話を耳に入れないように。
「これ、お願いします。」
「はい、680円ね!」
食べたいパンを片手に、お会計に出す。
言われた金額を出そうと、お財布を開く。
.....え、まって。
「最悪だ.....」
お札入れを見ても、小銭入れを見ても。
こんなすっからかんなことある....?
しばらくお財布の中身確認してなかったから、まさかここまでお金が入ってなかったなんて、気づかなかった....
せっかく長蛇の列に並んで、お昼ご飯にありつけたのに。
昼食ぬきかー....
「あ、えっとー....これ大丈夫で「お会計、これと一緒にお願いします!」
お金ないし、諦めるしかないやー。
と、断ろうとした時。
隣から聞こえたそんな声。
自分の分のパンと私のパンを指さしてそう言うのは今村だった。

