家に帰る途中。 ふと空を見上げると、雲の切れ間から夕日が差していた。 茜色の雲と、もう直ぐ沈みそうな太陽。 眩い光に思わず目を細める。 ひとりで歩く帰り道は、最初はさみしかった。 空を見ずに、ただ俯いて鞄を持ち直していた。 でも、こうして歩いていると、少しだけ自由になれる気がする。 誰かの顔色をうかがう必要もない。 誰かのために無理して笑わなくていい。 少しずつ、わたしは、わたしを取り戻し始めていた。