「ねぇ、玲杏、ちょっと話せる?」
心臓がバクバクして。
吐きそうなほど緊張しても、このままの関係は嫌だったから。
勇気を出して声をかけた。
お願い、「話って何?」って聞いてよ。
「ごめーん、無理。今から紗綾とプリ撮るから」
一瞬、わたしを見た。
そして、紗綾と顔を見合わせて嘲笑した。
小馬鹿にする目とその冷たい笑いは、嫌でもわたしの心に突き刺さる。
もう、戻れないの?
その夜。
ベッドに転がりながら、震える指先でLINEを送信した。
『どうして、避けるの?
わたしのどこがダメだった?
わたしはもう一回、玲杏と仲良くなりたい』
既読がついた。
返事は、いくら待ってもなかった。
そしてその日から、教室の見えない壁はもっと厚くなった。



