「最近、谷口さんと一緒に帰ってないね」
言ってきたのは、田中さん。
好きな作家さんで意気投合して、そこからちょっとだけ喋ったりする関係になった。
「うん、なんか、部活が忙しいらしくて」
ほんとは、違う。
玲杏はわたしを避けるようになった。
目が合うとすぐに逸らされる、話しかけようとするとすぐに他の友達のところへ行く、LINEも既読して無視。
認めたくない事実だけど、避けられてるな、とは感じていた。
「…あの日、」
思い当たる理由は一つしかなくて。
寝落ち電話、というものをしたある晩。そこで「ヒミツの女子会」と名付けて、玲杏は好きな人を教えてくれた。
若崎晴翔くん。
サッカーが得意でイケメンらしい、隣のクラスの男子。
「この前体育の時に怪我したら、助けてくれたの!」
と、声は弾んでいて嬉しそうだった。
「咲久ちゃん、こんど映画行かない?」
と誘われたときは、もちろん断った。
理由は、玲杏が目の前にいたから。
流石に親友の好きな人をぶんどる趣味なんかないから、断ろうとしたのだ。
でも…
「いいじゃん!行って来なよ、そこ二人お似合いだよ〜!?」
笑顔のまま言われたその言葉を、わたしは違和感を抱えながらそれを飲み込んでしまったのだ。
その日からだ、玲杏が変わってしまったのは。
言ってきたのは、田中さん。
好きな作家さんで意気投合して、そこからちょっとだけ喋ったりする関係になった。
「うん、なんか、部活が忙しいらしくて」
ほんとは、違う。
玲杏はわたしを避けるようになった。
目が合うとすぐに逸らされる、話しかけようとするとすぐに他の友達のところへ行く、LINEも既読して無視。
認めたくない事実だけど、避けられてるな、とは感じていた。
「…あの日、」
思い当たる理由は一つしかなくて。
寝落ち電話、というものをしたある晩。そこで「ヒミツの女子会」と名付けて、玲杏は好きな人を教えてくれた。
若崎晴翔くん。
サッカーが得意でイケメンらしい、隣のクラスの男子。
「この前体育の時に怪我したら、助けてくれたの!」
と、声は弾んでいて嬉しそうだった。
「咲久ちゃん、こんど映画行かない?」
と誘われたときは、もちろん断った。
理由は、玲杏が目の前にいたから。
流石に親友の好きな人をぶんどる趣味なんかないから、断ろうとしたのだ。
でも…
「いいじゃん!行って来なよ、そこ二人お似合いだよ〜!?」
笑顔のまま言われたその言葉を、わたしは違和感を抱えながらそれを飲み込んでしまったのだ。
その日からだ、玲杏が変わってしまったのは。



