「あーあ、俺も月と一緒の家に住みたいなぁ」

「さすがにダメだよ。だいたいはわたしの家にいるんだから、夜ぐらいは自分の家で我慢して?」

「無理。月不足になっちゃうもん」

「月不足って、なにそれ」


わたしといなきゃ無理ってこと? ふふっ、凪翔兄らしい。

笑っていると、急に凪翔兄がわたしの髪をすっと手ですくった。


わたしが目を瞬いているうちに、髪を自分の唇へ持って行って……そっと口をつける。