幼なじみは一日十分、わたしを甘く溺愛したがる。

「い、いると思っちゃうよっ」

割って入ったわたしに、凪翔兄は驚いたように目を瞬かせる。

あ……、い、勢いで言っちゃったっ。

「そ、その凪翔兄かっこいいし、彼女の一人二人いるかなぁって……」

「ちょっと月、二人はダメよ」

「えっ……あ、ホントだ! 二人は浮気になっちゃうね」

わたしはお母さんと二人で、ふふっと笑い合う。

だから隣で凪翔兄が面白くなさそうにふぅんと呟いていたなんて、知らなかった。