中学が終わり、わたしは家に帰ってきた。

凪翔兄、朝逃げちゃったこと怒ってるかな……。

そ〜っとドアを開ける。玄関に、お母さんの靴がないことに気づいた。

お母さん、今日もいない……ということは、凪翔兄と二人きりだ……。

なるべく静かに洗面所に行って手を洗っていると、


「あれ、月? おかえり」

……見つかってしまった。

わたしはあわてて凪翔兄に微笑む。