幼なじみは一日十分、わたしを甘く溺愛したがる。

じゃ、さっそく呼んでみようかな……。

「あ、燈く──、」

「月、忘れ物」

わたしが言おうとした言葉は、割って入った声で遮られた。

その声の方向を見ると、なぜか拗ねたような顔をした凪翔兄が。


「月。これ、今日必要なんじゃないの」

「わわっ……、凪翔兄ありがとう!」


凪翔兄が持ってきてくれたのは、授業で使うノートだった。