幼なじみは一日十分、わたしを甘く溺愛したがる。

わたしを思ってのことだってわかってるけど……でも、今回みたいに、わたしは勝手に守られて、凪翔兄が傷ついて……なんてこと、ずるい。

お母さんじゃなくて……直接、凪翔兄の口から聞きたかったっ……。

じわっと、涙があふれてきそうになる。


「月ちゃん。そんなとこにいると、濡れちゃうよ」


後ろから傘を差し出されて、わたしは振り向く。

そこには、燈くんが立っていた。

追いかけてきてくれたの、かな……。