幼なじみは一日十分、わたしを甘く溺愛したがる。

「ごめんなさい……知らない人と行くのは、ちょっと……」

「高校三年生、海津結帆(かいづゆいほ)。これでいい?」

「名前聞いただけじゃ……」

「ふぅん。えー、じゃあさ」


ふっと笑った海津さんが、いきなりわたしの腕を自分の方へひっぱった。

えっ……。


驚いているあいだに、海津さんがマスクを外す。顔をそっと触られる。どんどん海津さんの顔が近づいてきて、息がわたしの顔にかかる。