幼なじみは一日十分、わたしを甘く溺愛したがる。

「どうしてあんなことしたの?」って訊いたら、凪翔兄が困るような顔をしてドライヤーを動かす手を止めたのが、目の前の鏡に映った。


「……今正直に言ったら、月が困ると思うから。もうちょっと、待っててくれる?」


わたしが、困るような理由……?

首を傾げると、凪翔兄はちょっと笑って、わたしの髪を乾かす作業に戻った。


「あ、あのねっ、凪翔兄」

「なに?」

「今日の朝、避けちゃったの……わたしも、ごめんね」