サム国の第2王子フィリップ・サムとして、兄上を支えていこう。
エレノアを知るまでは僕はずっとそう思っていた。

「フィリップ、今日とうとう婚約者指名をしなければいけないんだ。他国の王族は妻を何人もとっているのに、サム国の王族に生まれた不幸だ。婚約者指名をした瞬間から、国民の目が厳しくなる。私の代では国王だけは側室もとって良いことにしようかと思っているんだ」

兄上は、女性関係が派手だ。
今日くる婚約者候補もほぼ全員兄上のお手つきだ。

「兄上、サム国は一夫一妻制をうたい、政府の要職の半数が女性ということで優秀な女性を他国からも集められています。国民の見本となるべく振る舞いを兄上ならされると信じています」

兄上の女性関係の派手さや政務への興味のなさは、多くの貴族たちが反感を抱いていた。
だけれども、そういった反感は臣下になる僕がなんとかすべき問題だと思っていた。

「フィリップ、お前は子供だな。国王の妻になりたい沢山の女がいるんだ。私は多くの女性の希望になってやろうと思っているんだよ」