逃亡した帝国の公女は2人の王子に溺愛される。

僕がしゃがみ込んで手伝おうと、明らかに焦って恐縮していた。

「どうして、1人でこんな量の本を運んでいたのですか?」
いじめられているのであれば助けたいと思って僕は尋ねた。

「腕を鍛えたくて図書館の整理の仕事を申し出たのですが、このようなご迷惑を掛けることになるなら小分けにして運ぶべきでした」
彼女は僕と話す時だけ視線を合わそうとしない。

他の人間と話す時は瞳から感情を読もうとするように、じっと相手の目を見て話す。
彼女は僕のことが好きだと思う、僕たちは両思いなのだ。

兄上は長きに渡り女遊びしかしてこなかったのだから、当然エレノアが僕のことを好きなことにも気がついているはずだ。

「どうして腕を鍛えたいと思ったのですか?」

腕を鍛えたいというのが、いじめを隠すための言い訳なのではないかと思い本を拾いながら彼女に尋ねた。
「剣術の稽古をしているのですが、なかなか上達しないのです。そもそも、腕の筋力が足りないのではないかと思いまして」
エレノアはちらっとだけ僕を見てくれた。
彼女の瞳に、明らかに恋をしている僕の顔が映っている。