「できれば、この力は使いたくないのに⋯⋯」
私は雲ひとつない天を仰いだ。
この空は私が逃げてきた帝国と繋がっている。
私がこの力を持って生まれていたことが、実家であるカルマン公爵家に露見すれば血眼に私を探してくるだろう。
替え玉をたてて済ませたのは私がこの力を持っていないと思ったからだ。
「アゼンタイン侯爵令嬢ですか?初めまして、フィリップ・サムです。お一人でいかがしましたか?王宮で迷われましたか?」
プラチナブロンドの髪色にに海色の瞳をした11歳の王子が私を心底心配そうな瞳をして現れた。
明らかに一目でわかる純真さは、他の貴族に利用されそうな危うさがある。
「いえ、一人でお散歩していただけなので大丈夫です。王宮は迷路みたいで楽しいですね」
私は一瞬恐怖で震え上がり、失礼を承知でフィリップ王子の横を走って通り過ぎた。
私は自分が失ってしまった純真さを持つ彼に好感を持ってしまった。
王子なのに道案内をしてあげようと、私を心配してくる太陽の光を吸い込んだような海色の瞳。
私の恩人が言っていたことを思い出したのだ。
私が魅了の力を使いこなせるのは人に期待しないからで、好意を持った相手に期待しないことは不可能に近いから注意した方がよいということ。
フィリップ王子とは距離をとったほうが良い、好かれたいなどと一瞬でも思えば魅了の力が発動してしまい彼の心を壊してしまう。
私は雲ひとつない天を仰いだ。
この空は私が逃げてきた帝国と繋がっている。
私がこの力を持って生まれていたことが、実家であるカルマン公爵家に露見すれば血眼に私を探してくるだろう。
替え玉をたてて済ませたのは私がこの力を持っていないと思ったからだ。
「アゼンタイン侯爵令嬢ですか?初めまして、フィリップ・サムです。お一人でいかがしましたか?王宮で迷われましたか?」
プラチナブロンドの髪色にに海色の瞳をした11歳の王子が私を心底心配そうな瞳をして現れた。
明らかに一目でわかる純真さは、他の貴族に利用されそうな危うさがある。
「いえ、一人でお散歩していただけなので大丈夫です。王宮は迷路みたいで楽しいですね」
私は一瞬恐怖で震え上がり、失礼を承知でフィリップ王子の横を走って通り過ぎた。
私は自分が失ってしまった純真さを持つ彼に好感を持ってしまった。
王子なのに道案内をしてあげようと、私を心配してくる太陽の光を吸い込んだような海色の瞳。
私の恩人が言っていたことを思い出したのだ。
私が魅了の力を使いこなせるのは人に期待しないからで、好意を持った相手に期待しないことは不可能に近いから注意した方がよいということ。
フィリップ王子とは距離をとったほうが良い、好かれたいなどと一瞬でも思えば魅了の力が発動してしまい彼の心を壊してしまう。



