逃亡した帝国の公女は2人の王子に溺愛される。

「エレノア、私に男色の気はありません。男を誘惑などしたこともありません」

レイモンドの返答を聞いて、私はやはり心を鬼にして彼を切り捨てるべきかもしれないと考え直した。
でも本当にそれで良いのだろうか、彼と同じ生まれならば彼のような価値観の人間になってしまう確率は非常に高い。

彼には同情の余地があるのは確かだ。

「あなたの趣味や好みなど関係ないのですよ。必ず自国民のことを第一に考えると誓ってください。それから経験のないことをできないという人間は、別人に変わることはできません。確かにレイモンドは不幸な境遇に生まれています。生まれた時から国王になる未来が決まっていて、恵まれたルックスを持っていたのです。そのどちらか一方が欠けていれば、もっと内面の魅力で人を惹きつける人間になれていたかもしれません。あなたに1年の猶予を与えることにします。次の3つから選んでください。1、フィリップ王子に王太子の地位を譲る。2、顔に消えない十字傷をつくる。3、15キロ太って小太りになる。20年間染みついた価値観を変えるのは難しいことです。この3つのいずれかを実行すれば、周りのあなたを見る目が変わり、レイモンド自身が生まれ変わりやすくなります」