「レイモンド、あなたに話さなければいけないことがあります。私について来てください」
私は自分の部屋に彼を招き入れた。

「エレノアが部屋に入れてくれるなんて初めてですね」
彼はそう言って微笑むと私のベットに座った。

「一体どんな教育を受けたら、外を出歩いた服装で他人のベットに座るなどという不躾な行動ができるのですか?お陰で寝具を全て取り替えなければいけなくなりましてよ。私が2歳の時でもそんなことをしたら、窓から放り出されましたわ」
私の聞いたことのない強い口調にレイモンドが目を丸くしている。

フィリップ王子と同じ海色の瞳なのに、どうしてこんなに彼の視線は不快なのか私はその原因についてまずは彼に話すことにした。

「エレノアが私に惹かれていないことは分かっていましたが、私は将来のあなたの夫ですよ。そのような口調で子供を注意するように叱ってくるのはいかがなものでしょうか?」

レイモンドは首を傾げながら言ってくる。
不敬なことを言われても怒り出さないところは彼の良いところかもしれない。
でも、生まれた時から未来の国王の椅子を約束された彼には全く危機感がない。