「でも、諦めた方が良いよ。エレノアは彼の兄上の婚約者を2年もしているんだ。王太子殿下と婚約解消になっても彼と結ばれることはないから⋯⋯」
考え事をしていたら、向かいにいたはずのハンスが私の隣にきていて私を抱きしめてきた。
彼の言う通りな上に、たとえフィリップ王子と心を通じ合わせるチャンスがあったとしても私は彼を避けるだろう。
彼が魅了の力の掛かりずらそうな知能の高さを持ち合わせていそうなことは分かったけれど、好かれたいと思って接して力により彼を操って好かれるなんて虚しすぎる。
「そんなんじゃないわよ。ただ、仕えるなら彼のような人が良いと思っただけ」
私は目を瞑って表情がハンスに見えないように顔を伏せながら呟いた。
レイモンド王太子殿下への接し方も変えた方が良いだろう。
従順に接して弱みを握り、彼を引き摺りおろすことを考えている場合ではない。
私よりもフィリップ王子殿下の方が先見の明があった。
今は国内でごたついている場合ではなく、力を合わせるべきだ。
「リード公子、私の婚約者をお送り頂きありがとうございました。エレノア、今日は入学式お疲れ様です。」
邸宅に馬車から降りようとしたら、レイモンド王太子殿下が私をエスコートしようと手を差し伸べてきた。
彼の手に自分の手を乗せると、また不快感が襲ってくる。
私はこの不快感の正体に気がつきはじめていた。
考え事をしていたら、向かいにいたはずのハンスが私の隣にきていて私を抱きしめてきた。
彼の言う通りな上に、たとえフィリップ王子と心を通じ合わせるチャンスがあったとしても私は彼を避けるだろう。
彼が魅了の力の掛かりずらそうな知能の高さを持ち合わせていそうなことは分かったけれど、好かれたいと思って接して力により彼を操って好かれるなんて虚しすぎる。
「そんなんじゃないわよ。ただ、仕えるなら彼のような人が良いと思っただけ」
私は目を瞑って表情がハンスに見えないように顔を伏せながら呟いた。
レイモンド王太子殿下への接し方も変えた方が良いだろう。
従順に接して弱みを握り、彼を引き摺りおろすことを考えている場合ではない。
私よりもフィリップ王子殿下の方が先見の明があった。
今は国内でごたついている場合ではなく、力を合わせるべきだ。
「リード公子、私の婚約者をお送り頂きありがとうございました。エレノア、今日は入学式お疲れ様です。」
邸宅に馬車から降りようとしたら、レイモンド王太子殿下が私をエスコートしようと手を差し伸べてきた。
彼の手に自分の手を乗せると、また不快感が襲ってくる。
私はこの不快感の正体に気がつきはじめていた。



