「アゼンタイン侯爵令嬢、具合が悪そうだったけれど大丈夫ですか?」
突然目の前に現れたプラチナブロンドの王子様に私は固まってしまった。
彼は壇上から私を見ていたということだろうか。
まだ、入学式の最中なのに王子である彼が会場の外に出てきたら注目されてしまう。
「フィリップ・サム王子殿下に、ハンス・リードがお目に掛かります。侯爵令嬢は人酔いしただけなので大丈夫ですよ。今は元気です」
返事も挨拶もできずにいる私をフォローするようにハンスが殿下に話しかけてくれた。
「元気そうには見えません。震えているし外は少し寒いから休憩できる部屋に案内します」
王子殿下は自分の着ていた上着を私にかけてくれた。
暖かくて優しい香りに包まれて泣きそうになる。
エスコートしようと差し伸べてくれた手に、震える手を重ねた。
私が震えているのは彼に好意を持ってしまっている気がするからだ。
好かれたいなどと彼に対して思ってしまえば、純真そうな彼の精神を壊してしまう。
「フィリップ・サム王子殿下にエレノア・アゼンタインがお目に掛かります。何故、アカデミーに入学したかお聞きしてもよろしいですか?」
私は焦って挨拶をし、一番聞きたかったことを聞いてしまった。
天気の話題からはじめれば良かったと後悔した。
「扱いやすい人間だと貴族たちから思われないように、見聞を深めておきたかったんです」
私の顔を覗き込むように彼が優しい声で言う。
キラキラした海色の瞳に顔を赤くした私が映っている。
この顔は恋をしている顔ではないだろうか、私はまた不安になった。
「王子殿下に対して扱いやすいなどと言う不敬な貴族がいらっしゃるのですか?」
私は失礼にならない程度に彼から視線をそらして尋ねた。
「僕は正直な意見を言う人間に対して不敬だとは思わないよ。飾り立てた言葉よりずっと心に響くからありがたい」
フィリップ王子の考え方に好意をまた抱いてしまった。
「こんな部屋があるんですね。アカデミーをもっと探検したくなります」
ハンスの聞き慣れた声がして、震えと胸の激しい鼓動が止まった。
おそらく王子に特別に用意された部屋だろう。
アカデミーの教室やホールとは置いてある調度品のレベルが違う。
でも、ここなら込み入った秘密の話をしても他の学生や教師に聞かれることもなさそうだ。
私は気がつくと、フィリップ王子殿下にソファーに座らされていた。
「体調が回復するまでここで休んでいってください。入学式もそろそろ終わる頃だから、他の生徒が帰宅したら人混みもなくなると思いますよ」
私が座った隣に王子殿下が座ってきて、距離の近さに驚いてしまった。
私が人酔いしたということで、人混みを気にしてくれているのだろう。
「お気遣いありがとうございます。殿下、昨今の帝国の世界侵略についてどう考えておいでですか?」
私は彼と雑談でもしようと思ったことを反省し、尋ねるべきことを聞くことにした。
彼にとって私は兄の婚約者であり、臣下の1人に過ぎない。
体の弱い女の子扱いされている場合ではない。
突然目の前に現れたプラチナブロンドの王子様に私は固まってしまった。
彼は壇上から私を見ていたということだろうか。
まだ、入学式の最中なのに王子である彼が会場の外に出てきたら注目されてしまう。
「フィリップ・サム王子殿下に、ハンス・リードがお目に掛かります。侯爵令嬢は人酔いしただけなので大丈夫ですよ。今は元気です」
返事も挨拶もできずにいる私をフォローするようにハンスが殿下に話しかけてくれた。
「元気そうには見えません。震えているし外は少し寒いから休憩できる部屋に案内します」
王子殿下は自分の着ていた上着を私にかけてくれた。
暖かくて優しい香りに包まれて泣きそうになる。
エスコートしようと差し伸べてくれた手に、震える手を重ねた。
私が震えているのは彼に好意を持ってしまっている気がするからだ。
好かれたいなどと彼に対して思ってしまえば、純真そうな彼の精神を壊してしまう。
「フィリップ・サム王子殿下にエレノア・アゼンタインがお目に掛かります。何故、アカデミーに入学したかお聞きしてもよろしいですか?」
私は焦って挨拶をし、一番聞きたかったことを聞いてしまった。
天気の話題からはじめれば良かったと後悔した。
「扱いやすい人間だと貴族たちから思われないように、見聞を深めておきたかったんです」
私の顔を覗き込むように彼が優しい声で言う。
キラキラした海色の瞳に顔を赤くした私が映っている。
この顔は恋をしている顔ではないだろうか、私はまた不安になった。
「王子殿下に対して扱いやすいなどと言う不敬な貴族がいらっしゃるのですか?」
私は失礼にならない程度に彼から視線をそらして尋ねた。
「僕は正直な意見を言う人間に対して不敬だとは思わないよ。飾り立てた言葉よりずっと心に響くからありがたい」
フィリップ王子の考え方に好意をまた抱いてしまった。
「こんな部屋があるんですね。アカデミーをもっと探検したくなります」
ハンスの聞き慣れた声がして、震えと胸の激しい鼓動が止まった。
おそらく王子に特別に用意された部屋だろう。
アカデミーの教室やホールとは置いてある調度品のレベルが違う。
でも、ここなら込み入った秘密の話をしても他の学生や教師に聞かれることもなさそうだ。
私は気がつくと、フィリップ王子殿下にソファーに座らされていた。
「体調が回復するまでここで休んでいってください。入学式もそろそろ終わる頃だから、他の生徒が帰宅したら人混みもなくなると思いますよ」
私が座った隣に王子殿下が座ってきて、距離の近さに驚いてしまった。
私が人酔いしたということで、人混みを気にしてくれているのだろう。
「お気遣いありがとうございます。殿下、昨今の帝国の世界侵略についてどう考えておいでですか?」
私は彼と雑談でもしようと思ったことを反省し、尋ねるべきことを聞くことにした。
彼にとって私は兄の婚約者であり、臣下の1人に過ぎない。
体の弱い女の子扱いされている場合ではない。



