逃亡した帝国の公女は2人の王子に溺愛される。

彼はボディータッチが過剰で、私は彼に触れられるたび不快で鳥肌がたつ。
彼はやはり優秀な人間なようで、私がどう演技しようとも彼に心酔していないことはバレていそうだ。

だから全く重要な話はしてこず、上部だけの甘ったるい愛ばかり語ってくる。
彼の動向を注意していると、3ヶ月交代くらいでお気に入りの貴族令嬢がかわっている。

婚約者がいながら不貞行為を繰り返していることを指摘し、婚約を解消しても良いがそれだと相手の令嬢に迷惑がかかってしまう。
私は彼が政治的なことで不正を働いていたりといった女性関係以外のところで彼を引きずりおろしたいと思っていた。

「エレノアが姉上を悪いと思っていないことを伝えてみるよ。でも、今、外に出てきても傷ついてまたひきこもってしまう気がするんだ。」
ハンスの言う通りだと思った。
王太子殿下の愛を信じて衝動的に私を始末しようとまでしたのに、今の彼は他の女に夢中になっている。

「私が男だったら、ビアンカ様と恋をして王太子殿下のことを忘れさせてあげられるのに。とにかくビアンカ様が王太子殿下のお手つきになったという噂だけは消すようにしよう。ひきこもっていることの別の理由を考えるの。私が生まれる前にエレナ・アーデンが4年間、自分の美を追求するためにひきこもっていたという話を聞いたわ。ひきこもりの末、出てきた彼女は奇跡の美少女から絶世の美女にかわっていたらしいの。ビアンカ様も美の追求のためにひきこもったことにして、表舞台に出る時に周りが驚くくらいイメージチェンジして登場するのはどうかしら?可愛らしい感じから、妖艶な美女系のメイクにするとか色々あると思うの」

私の話になぜだかハンスが肩を震わして笑いを堪えている。

「分かった。エレノアの提案については話してみるよ。美の追求で4年ひきこもった先駆者がいるなら、2年のひきこもりなんて可愛いもんだよな」

ハンスが明るく言った言葉に、私はビアンカ様を救う道が開けそうでホッとした。