「なんだかこのやり取りもバカらしくなってきました。お父様、お母様、私の正体を知りながら受け入れてくれてありがとうございます」
私はそう言って、彼らを愛することを恐れないことに決めた。

その後、アゼンタイン侯爵夫人が私の友人になればと紹介してきたのが、ハンス・リード公子だった。
友達まで斡旋してくれようとする侯爵夫人の過保護っぷりに心が温かくなった。

「ハンス・リードです。初めましてアゼンタイン侯爵令嬢」
ハンスの硬い挨拶に、無理やり彼が連れてこられて私と友人となることなど望んでいなかったことを悟った。

「エレノア。同じ年だから名前で呼び合おうぜ。俺のことはハンスと呼んでも、適当にハンとか、スとか呼んでもご自由に!」

私が遠慮をして縮こまったことを悟るように軽い感じで手を差し伸べてくれた彼を今でも忘れない。