私の母親は本当はメイドだが、父親であるカルマン公子の正妻が母親ということになっていた。
正妻に子供ができなかったことと、紫色の瞳で生まれたからだ。
私の父親は元第5皇子でカルマン公爵家に養子に入っていて、紫色の瞳をしていた。

同じく紫色の瞳をしたアラン皇帝陛下の父親である元第3皇子が皇帝となったのは、カルマン公爵家の紫色の瞳の女と婚約したからだった。

カルマン公爵家は皇室と密接な関係を築いていて、皇后を公爵家から輩出することでのし上がってきた。
父はもう公爵位を継いでも良い年齢だが、祖父が強欲で公爵の地位を譲らなかった。

私は父親のストレスの吐け口だった。

「今日のお前の食事はない。ひもじいなら、料理長を操って腹を膨らませてみろ」

父は私がカルマン公爵家の紫色の瞳の女でありながら魅了の力を持っていないというのが許せないようで虐待してきた。
「お父様、私は人に媚びつらうくらいなら、気高い死を選びます」

優雅に挨拶をし、部屋に戻ると3時間もしたら食事が出てきた。
結局、私を利用したくて仕方がないだけの単細胞な父親だ。

私の母親は薄紫の紫陽花色の髪と瞳の色をしたメイドだったらしい。
私を産んですぐに、その存在が邪魔だとされて殺されてしまった。

カルマン公爵家は皇家にとりいることばかりに気を取られ気がつけば経済的にも困窮していった。