逃亡した帝国の公女は2人の王子に溺愛される。

「エレノア、本当に美しいです。やっと今日に辿り着きました。夜が楽しみです」
レイモンドが私の頬を撫でながらうっとりとした目で見つめてくる。
レイモンドと私は今日結婚する。

サム国の豪華絢爛な王宮はそのまま残されて、私は今日から邸宅を出てそこに住むことになる。
王宮にあるチャペルでこれから結婚式を挙げるのに、彼の気持ちは初夜へと向かっていた。

「レイモンド、今日という日の様子は領民だけでなく、世界中に発信されます。節度を持った行動を心がけてください。一瞬たりとも気を抜いてはなりません。今度、初夜のことを考えたら初夜もなしにします」

サム国は帝国領になった最後の国だ。
レイモンドの父親である先の国王が王位にこだわったため、帝国の領地化が遅れたと世界では認識された。

民の利益を一番に考え玉座に居座り続ける父親から、王位を奪い取ったレイモンドの行動は世界中から賞賛の的となった。
だから、そんな彼の結婚式は当然、世界から注目されている。