「お約束をするということをしないのですか? 王太子殿下。それに赤いバラは苦手なのです。私と結婚なさりたい割りに何も私のことをご存知ないのね」
バラが苦手なのではなく、赤い花が苦手だった。
カルマン公爵家は図鑑にも載ってないような謎の赤い花がいつも咲き誇っていた。
今でも、赤い花を見ると実の父親から虐待された日々を思い出して吐き気がした。
「これから知っていけばよいのではないですか? 私たちに時間はいくらでもあるのですから」
王太子殿下は小道具のバラを、近くのメイドに手渡すと手を振って人払いをした。
「人の御宅に伺って勝手に人払いをする方を初めてみました。王太子殿下は何から何まで規格外ですのね。もしかして、うちのメイドとも男女の関係にありますか?」
王太子殿下は貴族令嬢だけでなく、メイドにも手を出していることは有名な話だ。
男性にも貞淑さをもとめているサム国の貴族が拒否反応を示すのは当然だ。
「まさか、王太子である私を雑食動物扱いしないでください。エレノアの為に人払いをしたのですよ。エレノア、あなたは人を操る力を持っていますね。カルマン公爵家出身の女に帝国の皇帝が好きにされて来たのは、魅惑的な女に翻弄されたからではないということだ。特別な超能力のような力を持っていて、その力で操っていたということです。そうですよね、エレノア・カルマン公女」
レイモンド王太子の言葉に背筋が凍った。
魅了の力を使って、使われたことを認識できるのは相当彼の知能が高い証拠だ。
女性関係で目立って、政務には興味がなく彼を優秀な人間だと思っている人間はほとんどいない。
しかし、彼はおそらく天才と言われるレベルの脳を持っているが故に脳に何かされたことを認識できている。
「私の正体にそんなにこだわりたいのですか? 孤児院の野良猫、帝国の公女、サム国の侯爵令嬢のうちで一番利用できそうなのが帝国の公女だという判断なのかしら?」
帝国はアラン皇帝陛下に代わり、一気に世界侵略を進めている。
サム国が帝国から侵略されることを阻止するために私というカードを利用したいのだろうか。
だとしたら、彼にも王太子としての自覚があるということだ。
ただの女好きよりはずっとましだ。
バラが苦手なのではなく、赤い花が苦手だった。
カルマン公爵家は図鑑にも載ってないような謎の赤い花がいつも咲き誇っていた。
今でも、赤い花を見ると実の父親から虐待された日々を思い出して吐き気がした。
「これから知っていけばよいのではないですか? 私たちに時間はいくらでもあるのですから」
王太子殿下は小道具のバラを、近くのメイドに手渡すと手を振って人払いをした。
「人の御宅に伺って勝手に人払いをする方を初めてみました。王太子殿下は何から何まで規格外ですのね。もしかして、うちのメイドとも男女の関係にありますか?」
王太子殿下は貴族令嬢だけでなく、メイドにも手を出していることは有名な話だ。
男性にも貞淑さをもとめているサム国の貴族が拒否反応を示すのは当然だ。
「まさか、王太子である私を雑食動物扱いしないでください。エレノアの為に人払いをしたのですよ。エレノア、あなたは人を操る力を持っていますね。カルマン公爵家出身の女に帝国の皇帝が好きにされて来たのは、魅惑的な女に翻弄されたからではないということだ。特別な超能力のような力を持っていて、その力で操っていたということです。そうですよね、エレノア・カルマン公女」
レイモンド王太子の言葉に背筋が凍った。
魅了の力を使って、使われたことを認識できるのは相当彼の知能が高い証拠だ。
女性関係で目立って、政務には興味がなく彼を優秀な人間だと思っている人間はほとんどいない。
しかし、彼はおそらく天才と言われるレベルの脳を持っているが故に脳に何かされたことを認識できている。
「私の正体にそんなにこだわりたいのですか? 孤児院の野良猫、帝国の公女、サム国の侯爵令嬢のうちで一番利用できそうなのが帝国の公女だという判断なのかしら?」
帝国はアラン皇帝陛下に代わり、一気に世界侵略を進めている。
サム国が帝国から侵略されることを阻止するために私というカードを利用したいのだろうか。
だとしたら、彼にも王太子としての自覚があるということだ。
ただの女好きよりはずっとましだ。



