逃亡した帝国の公女は2人の王子に溺愛される。

本当に私が16歳までに魅了の力を消す薬を間に合わせてくれた。

来週には私は16歳になり、サム国では結婚できる年齢になる。
きっと私の結婚する前までに、真実の愛を理解できるように間に合わせてくれたのだろう。

魅了の力があると、相手の好意を信じられなくなる。
でも相手の好意が信じられなくても、私は自分の好意が誰に向いているかは知っていた。

サム国はまだ国として形を保っているが、国民の9割が帝国領になることを望んでいる状態だ。
国王陛下がサム国を帝国に明け渡さないのだ。

そんな不安定な時期に、王太子であるレイモンドが結婚式を挙げるわけにいかないので私たちの結婚式は保留ということになっている。

「良かったですね。これで、怖がらずにフィリップと話せますよ」
私は彼がいつからか私のことを心から愛していることに気がついていた。
その気持ちを利用して、能力のある彼を活用し自分の失態のフォローをさせ続けていたのだ。

私の初恋の人エレナ・アーデンが私が魅了の力を使いこなせるのは人に期待していないというより、人を道具のように見ているからだと言っていた。

彼女に言われた言葉がショックで自分は人に期待できないような可哀想な人生を送ってきたから、人に期待せず魅了の力を使いこなせると思い込もうとしていた。

エレナ・アーデンの言うことはやはり正しかった。
私は人を道具のように見ていたから、魅了の力を使いこなしてきた。

しかし、自分の欲求のままに魅了の力を使ってしまうようになると、能力が高く自分に惚れ込んでいる婚約者の男を道具のように使い自分の失態を覆い隠した。

「レイモンド、私の魅了の力が消えたら伝えたいことがあります」
私は大好きな彼の海色の瞳を見つめた。
どうして、今まで気がつかなかったのだろう。