逃亡した帝国の公女は2人の王子に溺愛される。

私は風呂から上がると用意された部屋に入った。
50人以上は入れるような広い部屋の真ん中に10人くらいが寝れるような豪華絢爛なベットが置いてある。

どうしてこんな大きなベットが存在するのだろう、博物館のように周りの調度品も高級なものばかりで壊してしまうのが怖くて身動きがとれない。

帝国の皇宮も高級な調度品が並んでいるけれど、ここはその比ではない。
泥棒が入られたらどうするつもりなのだろうか、サム国の国民の国に対する満足度は高いけれど王族がこんな訳のわからないレベルの高級な生活をしていることは知っているのだろうか。

用意された部屋着は私にぴったりで、高級な素材で作られていた上に服に興味のない私でもわかる可愛いデザインだった。

勉強をしようと思ったけれど、雑念が多すぎてもう寝た方が良いと思いベットに横になった。

薄れゆく意識の中で、扉のノックの音がしたので目覚めた。
しつこいくらい続く音に不安が募る。
今が何時かわからないけれど、このようにしつこく扉を叩くような人間がいるのだろうか?

「エレノア、寝てしまったのですか?」

扉の向こうから、レイモンドの声がした。
私が王宮に宿泊していることが露見してしまっているようだ。

「寝てしまっています。お休みなさい、レイモンド」
私は扉ごしにいるであろう、彼にこたえた。