逃亡した帝国の公女は2人の王子に溺愛される。

ビアンカ様が早々サム国から帝国に移住したのは、今回の要職試験までにサム国は帝国領にならないと見込んでのことだろう。
やはり彼女は先見の明がある聡明な方だ、すでに彼女のような優秀な人材の流出ははじまっている可能性が高い。

「エレノアは約束を全然守らない悪い女ですね。私の膝の上にのって、額に口づけして私のことを好きになる努力をすると言ってませんでしたか?」

レイモンドは私の前髪をかきあげて、額に口づけをしてきた。
確かに私は彼の額に口づけをしてそんなことを言ったが、彼だって15キロ太るという約束を守っていない。

「膝の上に私を今のようにのせて来たのはレイモンドですよね。私が自発的にのったわけではないです。この体勢は好きではありません。私のこと自分の所有する人形のように扱ってませんか?私は、婚約しているのだからあなたを好きになる努力をしていますよ。好きにさせてくれないのは、あなたではないですか」

私は彼と関わるたびに、彼の自己中心的で自分勝手な性格にうんざりしていた。

「好きになる努力をしているのなら、婚約を破棄する理由はないではないですか?甘く私に迫ってきたエレノアにまた会いたいです。どこに行ってしまったのですか、彼女は。最近、エレノアは私に対する当たりが強いです。嫌われて婚約を破棄しようという魂胆なら無駄ですよ。私はエレノアを手放す気はありません。あなたを人形などと思ってませんよ、可愛い私の婚約者だと思っています」

私を覗き込んでくる海色の瞳に映る私はいつも鏡で見る私より可愛く見えた。