「考えたくありませんが、サム国が帝国領になったら領主となる私と結婚して妻として私の側にいてくれるのではないですか? 魅了の力が無くなる予定があるから、帝国の首都に行こうなどと考えはじめたのですよね。副作用が強い薬のようだし、飲まない方が良いのではないですか? 魅了の力をもったままでも、私の側にいる分には問題ないではないですか」
彼が私を抱き寄せながら言ってくる言葉に、心が悲しみで満たされていくのが分かる。
私が魅了の力にどれだけ悩んでいるかを、一番知っている相手が彼であるはずなのにどうしてそんなことが言えるのだろうか。
「アーデン侯爵令嬢が大丈夫だと言ってくれた薬なら、私は飲みます⋯⋯」
エレナ・アーデンの名前を発しただけで、私の悲しみも恐れも一瞬で吹き飛んだ。
私を地獄からいつだって救い出してくれた彼女はいつも私に強い力を与えてくれる。
「エレナ・アーデンが本当に好きですね、エレノアは。私は同性に憧れたことがないので、その気持ちが分かりません」
レイモンドがわからないのは、同性の気持ちではなく他人の気持ちだ。
本来なら察しの良い彼は人の気持ちを理解しようと思えば理解できるはずだ。
しかし、彼は自分の気持ちにしか興味がない人間だ。
彼が私を抱き寄せながら言ってくる言葉に、心が悲しみで満たされていくのが分かる。
私が魅了の力にどれだけ悩んでいるかを、一番知っている相手が彼であるはずなのにどうしてそんなことが言えるのだろうか。
「アーデン侯爵令嬢が大丈夫だと言ってくれた薬なら、私は飲みます⋯⋯」
エレナ・アーデンの名前を発しただけで、私の悲しみも恐れも一瞬で吹き飛んだ。
私を地獄からいつだって救い出してくれた彼女はいつも私に強い力を与えてくれる。
「エレナ・アーデンが本当に好きですね、エレノアは。私は同性に憧れたことがないので、その気持ちが分かりません」
レイモンドがわからないのは、同性の気持ちではなく他人の気持ちだ。
本来なら察しの良い彼は人の気持ちを理解しようと思えば理解できるはずだ。
しかし、彼は自分の気持ちにしか興味がない人間だ。



